もるめのみあまた見ゆればみかさ山
知る知るいかがさしてゆくべき
- 歌の意味
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見張りの人目ばかりが数多く見えるので、それを知りながら、どうして三笠山の御笠をさして、あなたのもとを目指して行けようか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1030
詞書「返し」
見張る人目ばかりがたくさん見えるので、知っていながらどうして傘をさしてそちらを目指して行けようか、と詠んだ歌である。前歌の「さして」「みかさ山」「もり」を受け、雨が漏ったのではなく人目が見張っているので行けなかったのだと言い訳している。
詞書によれば、前歌の第千二十九首への男の返しである。前歌の雨の「漏り」を「もるめ」すなわち見張りの目に転じ、行かなかった理由を人目に帰している。本巻の第千十八首でも、人目は逢わない口実として詠まれている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「もるめのみ」は、見張る目ばかりが、の意で、「もる」に人目を「守る」意と、前歌の雨が「漏る」意を掛けている。
二句「あまた見ゆれば」は、たくさん見えるので、の意である。
三句「みかさ山」は、三笠山のことで、前歌の三句を受け、「みかさ」に傘を掛けている。
四句「知る知るいかが」は、知っていながらどうして、の意で、「いかが」は反語を表し、結句の「べき」と呼応している。本巻の第千四十三首の二句にも「知る知る」が用いられている。
結句「さしてゆくべき」は、傘をさして目指して行けようか、の意で、前歌の初句「さして」を受け、傘を「差す」意と目指す意を掛けている。
もるめ:見張りの目。雨が漏る意を掛ける
みかさやま:大和国の三笠山。「御笠」を掛ける
さす:傘を差す意と、目指す意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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さしてこと思ひしものをみかさ山 かひなく雨のもりにけるかな
- 次の歌
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慰むる言の葉にだにかからずは 今も消ぬべき露の命を