慰むる言の葉にだにかからずは
今も消ぬべき露の命を
- 歌の意味
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慰めてくれるあなたの言葉にさえすがっていなかったら、今にも消えてしまいそうな、露のようにはかない私の命なのに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1031
詞書「女のもとより、いといたくな思ひわびそと、頼めおこせて侍りければ」
慰めの言葉にさえすがらなかったら、今にも消えてしまいそうな露の命なのに、と詠んだ歌である。露が葉にかかって留まるように、相手の慰めの言葉にかろうじて命をつないでいることを訴えている。
詞書によれば、女のもとから、そんなにひどく思い嘆かないでと、頼みにさせる言葉を送ってきたので詠んだ歌である。本巻の第千八首も「露の命」を詠み、そこではいつ消えるとも知れない命の中で恨まれることを嘆いていた。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「慰むる」は、心を慰めてくれる、の意である。
二句「言の葉にだに」は、言葉にさえ、の意で、「言の葉」の「葉」が結句の「露」の縁語となっている。「だに」は最小限の限定を表す副助詞である。
三句「かからずは」は、すがらなければ、の意で、露が葉に掛かる意を重ねている。
四句「今も消ぬべき」は、今にも消えてしまいそうな、の意で、「ぬべき」は強い推量を表す。
結句「露の命を」は、露のようにはかない命なのに、の意で、本巻の第千八首の初句と同じ語を用いている。「を」は詠嘆を込めた終助詞である。
ことのは:言葉
おもひわぶ:思い悩む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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もるめのみあまた見ゆればみかさ山 知る知るいかがさしてゆくべき
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人知れず待つに寝られぬ有明の 月にさへこそあざむかれけれ