影見れば奥へ入りける君により
などか涙のとへは出づらん
- 歌の意味
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私の姿を見ると奥へ入ってしまったあなたのせいで、どうして私の涙は外へと出てくるのだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1037
詞書「立ち寄りけるに、女逃げて入りければ、つかはしける」
私の姿を見て奥へ入ってしまったあなたのために、どうして涙は外へ出てくるのだろう、と詠んだ歌である。女が奥へ逃げ入ったのと、自分の涙が外へ出るのとを対比させ、拒まれた悲しみを機知に包んで詠んでいる。
詞書によれば、女のもとに立ち寄ったところ、女が逃げて奥へ入ってしまったので送った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「影見れば」は、私の姿を見ると、の意である。
二句「奥へ入りける」は、奥へ入ってしまった、の意で、結句の「とへは出づ」と、入ると出る、奥と外の対比をなしている。
三句「君により」は、あなたのせいで、の意である。
四句「などか涙の」は、どうして涙が、の意で、「などか」は疑問を表し、結句の連体形「らん」で結んでいる。
結句「とへは出づらん」は、外へは出てくるのだろう、の意で、「と」は外の意である。二句の「奥へ入り」と対をなしている。
と:外、外側
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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恋ひわびて死ぬてふことはまだなきを 世のためしにもなりぬべきかな
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知らざりし時だに越えし相坂を などいまさらにわれ迷ふらん