音もせずなりもゆくかな鈴鹿山
越ゆてふ名のみ高く立ちつつ
- 歌の意味
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鈴鹿山の鈴の音もしないように、あなたからの便りもなくなっていくことだ。鈴鹿山を越えたように、二人が深い仲になったという評判ばかりが高く立ちながら。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1040
詞書「男の訪はずなりにければ」
音沙汰もなくなっていくことだ、鈴鹿山を越えたという評判ばかりが高く立って、と詠んだ歌である。鈴鹿山の「鈴」から「音」を響かせ、深い仲になったという噂だけが立って、肝心の男の訪れが絶えていくことを恨んでいる。
詞書によれば、男が訪れなくなったので詠んだ歌で、次歌の第千四十一首に男の返しが置かれている。本巻の第千二十八首も「越ゆ」の語に寄せて恋を詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「音もせず」は、音沙汰もなく、の意で、三句の「鈴鹿山」の「鈴」の縁語となっている。
二句「なりもゆくかな」は、なっていくことだ、の意で、ここで句切れとなる。本巻の第千二十五首の結句と同じ句である。
三句「鈴鹿山」は、伊勢国と近江国の境の山で、「鈴」から初句の「音」を響かせている。次歌の三句にも置かれている。
四句「越ゆてふ名のみ」は、越えたという評判ばかりが、の意で、鈴鹿山を越えることに、二人が深い仲になったことを重ねている。
結句「高く立ちつつ」は、高く立っていて、の意で、名が「立つ」ことに山の高くそびえる姿を重ねている。「つつ」は継続を表す。
すずかやま:伊勢国と近江国の境の山。鈴鹿の関があった
な:評判、うわさ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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飽かずして枕の上に別れにし 夢路を又も尋ねてしかな
- 次の歌
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越えぬてふ名をな恨みそ鈴鹿山 いとど間近くならんと思ふを