白河の滝のいとなみ乱れつつ
よるをぞ人は待つといふなる
- 歌の意味
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白河の滝の糸筋は並んで乱れながら縒り合わされるのを待つように、人は夜を待つものだというではないか。
- 鑑賞
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巻第十五 雑歌一 1087
詞書「返し」
白河の滝の糸筋が乱れつつ縒り合わされるのを待つように、人は夜を待つものだという、と詠んだ歌である。前歌の滝の糸の趣向を受け、「よる」に糸を縒る意と夜の意を掛けて、夜になるのを待てばよいと答えている。
前歌の中務の歌に対する忠平の返しである。
作者の「おほきおほいまうちきみ」は藤原忠平である。藤原基経の四男で、太政大臣、関白に至った。没後に貞信公と諡され、小倉百人一首には「小倉山峰のもみぢ葉心あらば」の歌が採られている。
初句「白河の」は、前歌の初句と同じ語で始め、贈答の照応を示している。
二句「滝のいとなみ」は、滝の糸筋が並んで、の意で、前歌の「滝のいと」を受けている。
三句「乱れつつ」は、乱れながら、の意で、「つつ」は継続を表す。前歌の「みだりに」に応じ、糸の縁語となっている。
四句「よるをぞ人は」は、夜を人は、の意で、「よる」に夜と、糸を縒る意を掛け、糸の縁語としている。「ぞ」は強意の係助詞で、結句の連体形「なる」で結ぶ係り結びとなっている。
結句「待つといふなる」は、待つというではないか、の意で、「なる」は伝聞の助動詞「なり」の連体形で、四句の「ぞ」を受けて結んでいる。
いとなみ:滝の糸筋が並んでいるさま
よる:夜と、糸を縒る意を掛ける
- 作者
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藤原忠平
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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白河の滝のいと見まほしけれど みだりに人は寄せじものをや
- 次の歌
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蓮葉のはひにぞ人は思ふらん 世にはこひぢの中に生ひつつ