浜千鳥かひなかりけりつれもなき
人のあたりはなきわたれども
- 歌の意味
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浜千鳥が貝のない浜で鳴くように、甲斐のないことだった。薄情な人のあたりを、泣きながら行き来しても。
- 鑑賞
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巻第十五 雑歌一 1091
詞書「あひ知りて侍りける女、心にも入れぬさまに侍りければ、異人の心ざしあるにつき侍りにけるを、なほしもあらず物言はむと申しつかはしたりけれど、返事もせず侍りければ」
浜千鳥が貝のない浜を鳴き渡るように、甲斐がなかった、薄情な人のあたりを泣きながら行き来しても、と詠んだ歌である。去っていった女に未練を残し、いくら訴えても返事のないむなしさを、浜千鳥の姿に託している。
詞書によれば、親しくしていた女が自分を気にかけない様子で、ほかの男の思いに従って去ってしまったが、それでも話をしたいと言い送ったのに、返事もなかったので詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「浜千鳥」は、浜辺の千鳥で、自らを浜千鳥にたとえている。
二句「かひなかりけり」は、甲斐がなかったことだ、の意で、「かひ」に甲斐と、浜千鳥の縁で「貝」を掛けている。「けり」は詠嘆を表し、ここで句切れとなる。
三句「つれもなき」は、薄情な、の意である。
四句「人のあたりは」は、その人のあたりは、の意である。
結句「なきわたれども」は、鳴きながら渡っていくけれども、の意で、「なき」に千鳥の「鳴き」と、自らの「泣き」を掛けている。「ども」は逆接を表し、二句の嘆きの理由を後から添える倒置となっている。
かひ:甲斐の意と、浜千鳥の縁で「貝」を掛ける
なきわたる:千鳥が鳴きながら飛んで行く意と、泣きながら行き来する意を掛ける
ことひと:ほかの人
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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海人の住む浦漕ぐ舟の梶をなみ 世をうみ渡る我ぞ悲しき
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この御幸千歳かへても見てしかな かかる山伏時に逢ふべく