流れての世をも頼まず水の上の
泡に消えぬる憂き身と思へば
- 歌の意味
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流れていく先の世も頼みにはしない。水の上の泡のように消えてしまう、つらい身の上だと思うので。
- 鑑賞
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巻第十五 雑歌一 1115
詞書「世の中の心にかなはぬなど申しければ、行く先頼もしき身にてかかる事あるまじと人の申し侍りければ」
水の上の泡のように消えてしまう憂き身だと思うので、流れていく先の世も頼みにしない、と詠んだ歌である。将来があるのだからと慰められたのに対し、はかない身に行く末などないと、水と泡の縁語でわが身のはかなさを述べている。
詞書によれば、世の中が思うようにならないなどと言ったところ、行く先の頼もしい身なのだからそんなことはあるまいと人が言ったので詠んだ歌である。
作者の大江千里は、大江音人の子で、漢学者として知られた。漢詩の句を題として和歌を詠んだ句題和歌の作者で、小倉百人一首には「月見ればちぢにものこそ悲しけれ」の歌が採られている。
初句「流れての」は、流れていく先の、の意で、時の流れを水の流れに重ね、三句の「水」の縁語としている。
二句「世をも頼まず」は、将来の世も頼みにしない、の意で、詞書の「行く先頼もしき」に答えている。ここで句切れとなる。
三句「水の上の」は、水の上の、の意で、字余りとなっている。
四句「泡に消えぬる」は、泡のように消えてしまう、の意で、「ぬる」は完了の助動詞の連体形である。
結句「憂き身と思へば」は、つらい身だと思うので、の意で、二句の理由を後から添える倒置となっている。
うきみ:つらいことの多い身の上
- 作者
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大江千里
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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古りぬとて思ひも捨てじ唐衣 よそへてあやな恨みもぞする
- 次の歌
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むばたまの今宵ばかりぞあけ衣 あけなば人をよそにこそ見め