はかなくて絶えなむくものいとゆゑに
何にか多くかかむとぞ思ふ
- 歌の意味
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はかなく切れてしまうに違いない蜘蛛の糸のような仲なのだから、どうして文を多く書くことがあろうかと思う。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌二 1139
詞書「男の、文多く書きてと言ひければ」
はかなく切れてしまう蜘蛛の糸のような仲なのに、どうして多く書こうか、と詠んだ歌である。手紙をたくさん書いてほしいと言う男に、蜘蛛の糸がかかる意と文を書く意とを重ねて、いずれ絶える仲だからと冷ややかに応じている。
詞書によれば、男が手紙をたくさん書いてくれと言ったので詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「はかなくて」は、はかなくて、の意である。
二句「絶えなむくもの」は、切れてしまうに違いない蜘蛛の、の意で、「なむ」は強い推量を表す。二人の仲がいずれ絶えることを重ねている。
三句「いとゆゑに」は、糸であるから、の意で、蜘蛛の「糸」に、仲のはかなさをたとえている。
四句「何にか多く」は、どうして多く、の意で、「か」は疑問の係助詞で、結句の連体形「思ふ」で結ぶ係り結びとなっている。
結句「かかむとぞ思ふ」は、書こうかと思う、の意で、「かか」に文を「書か」む意と、蜘蛛の糸が「懸か」る意を掛けている。反語の意をこめ、書くまいと応じている。
くものいと:蜘蛛の糸。はかなく切れやすいもののたとえ
かく:文を書く意と、蜘蛛の糸が懸かる意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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心してまれに吹きつる秋風を 山おろしにはなさじとぞ思ふ
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昔よりくらまの山と言ひけるは 我がごと人も夜や越えけん