雲居路のはるけきほどのそら事は
いかなる風の吹きて告げけん
- 歌の意味
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雲のかなたの道のように遠く隔たった所からの根も葉もないうそは、いったいどんな風が吹いて告げたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌二 1141
詞書「男につけて陸奥国へ娘をつかはしたりけるが、その男、心変はりにたりと聞きて、心憂しと親の言ひつかはしたりければ」
雲のかなたほど遠い所からのそら事は、どんな風が吹いて告げたのか、と詠んだ歌である。妻の親から心変わりをとがめられた男が、遠く離れた陸奥のことを伝えるうわさを空を吹く風になぞらえ、根拠のないうそだと打ち消している。
詞書によれば、男に連れ添わせて陸奥国へ娘を行かせたところ、その男が心変わりしたと聞き、親が情けないと言い送ってきたので、男が詠んだ歌とみられる。次歌に娘の母の返しがあり、贈答となっている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「雲居路の」は、雲のかなたの道の、の意で、陸奥の遠さを空の道にたとえている。
二句「はるけきほどの」は、遥かに遠い所からの、の意である。
三句「そら事は」は、うそは、の意で、「そら」に根拠のない意と「空」を掛け、初句の「雲居」の縁としている。
四句「いかなる風の」は、どのような風が、の意で、空の縁で風を持ち出している。
結句「吹きて告げけん」は、吹いて告げたのだろうか、の意で、「けん」は過去の原因推量の助動詞である。
くもゐぢ:雲のかなたの道。遠い道のり
そらごと:うそ。「空」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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昔よりくらまの山と言ひけるは 我がごと人も夜や越えけん
- 次の歌
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天雲のうきたることと聞きしかど なほぞ心はそらになりにし