散ると見て袖に受くれどたまらぬは
荒れたる浪の花にぞありける
- 歌の意味
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花が散ると見て袖に受けたけれども、たまらずに消えてしまうのは、荒れた波の花であったのだなあ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌二 1147
詞書「霰の降るを袖に受けて消えけるを、海のほとりにて」
散る花と見て袖に受けたが、とどまらずに消えるのは荒れた波の花であった、と詠んだ歌である。海辺に降る霰を散る花に見立て、袖に受けても消えてしまうのは、荒波の白い波頭が花と散ったものだからだと興じている。
詞書によれば、海辺で霰が降るのを袖に受けたところ消えてしまったので詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「散ると見て」は、花が散ると見て、の意で、降る霰を散る花に見立てている。
二句「袖に受くれど」は、袖に受けたけれども、の意で、「ど」は逆接を表す。
三句「たまらぬは」は、とどまらないのは、の意で、「たまら」に溜まる意と、霰を思わせる玉の意を響かせている。
四句「荒れたる浪の」は、荒れた波の、の意である。次歌の初句にも騒ぐ波が詠まれ、波の歌が続いている。
結句「花にぞありける」は、花であったのだなあ、の意で、「浪の花」は白く砕ける波頭をいう。「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。
なみのはな:白く砕ける波頭を花に見立てた語
たまる:とどまる。溜まる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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かけて言へばゆゆしきものを万代と 契りし事やかなはざるべき
- 次の歌
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立ち騒ぐ浪間を分けてかづきてし 沖のもくづをいつか忘れん