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限りなく思ふ心は筑波嶺の
このもやいかがあらむとすらむ

歌の意味
限りなくあなたを思う心は筑波嶺のように高く深いけれども、筑波嶺のこの面ならぬ、この裳の出来はどうなっているだろうか。
鑑賞
巻第十六 雑歌二 1150

詞書「人の裳を縫はせ侍るに、縫ひてつかはすとて」
 限りなく思う心は筑波嶺のように深いが、この裳の出来はどうだろうか、と詠んだ歌である。頼まれて縫った裳を届けるにあたり、筑波嶺の「このも」に「この裳」を掛け、心をこめたが仕立てはいかがかと謙遜している。
 詞書によれば、人が裳を縫わせたので、縫って届けるときに添えた歌である。古今和歌集の東歌「筑波嶺のこのもかのもに影はあれど君がみかげにます陰はなし」以来、筑波嶺は「このもかのも」と結びつけて詠まれた。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「限りなく」は、限りなく、の意である。
 二句「思ふ心は」は、あなたを思う心は、の意である。
 三句「筑波嶺の」は、常陸国の筑波山の、の意で、限りない思いを高い山にたとえるとともに、四句の「このも」を導いている。
 四句「このもやいかが」は、この面はどうか、の意で、「このも」に筑波嶺の「此の面」と、縫い上げた「この裳」を掛けている。
 結句「あらむとすらむ」は、どうなっているのだろうか、の意で、「らむ」は現在推量の助動詞である。

このも:こちら側の面の意の「此の面」と、「この裳」を掛ける
も:女性が腰から下にまとう衣
つくばね:常陸国の筑波山
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
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