をちこちの人目まれなる山里に
家居せんとは思ひきや君
- 歌の意味
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あちらこちらの人目もまれな山里に、住まいを構えようとは、あなたは思っていただろうか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌二 1172
詞書「昔同じ所に宮仕へし侍りける女の、男につきて人の国に落ちゐたりけるを聞きつけて、心ありける人なれば、言ひつかはしける」
人目もまれな山里に住もうとは、あなたは思っていただろうか、と詠んだ歌である。かつて同じ所に仕えた風雅な女性が、夫に従って地方の山里に住みついたと聞き、その境遇の変わりようを思いやっている。
詞書によれば、昔同じ所で宮仕えをしていた女が、夫について地方に下って住みついたと聞き、情趣を解する人であったので言い送った歌である。次歌に女の返しがあり、本歌から第千百七十五首まで、山里に住む人をめぐる歌が続いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「をちこちの」は、あちらこちらの、の意である。
二句「人目まれなる」は、人の訪れもまれな、の意である。
三句「山里に」は、山里に、の意で、次歌の結句の「山」、本巻の第千百七十四首、第千百七十五首の詞書の「山里」と続いていく。
四句「家居せんとは」は、住まいを構えようとは、の意である。
結句「思ひきや君」は、思っていただろうか、あなたは、の意で、「き」は過去、「や」は反語を表す。思いもしなかっただろうという意をこめ、呼びかけで結んでいる。
をちこち:あちらこちら
いへゐ:住まいを構えること。住居
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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忘るとは恨みざらなんはし鷹の とかへる山の椎はもみぢず
- 次の歌
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身を憂しと人知れぬ世を尋ね来し 雲の八重立つ山にやはあらぬ