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楢の葉の葉守の神のましけるを
知らでぞ折りし祟りなさるな

歌の意味
楢の葉には、葉を守る神がいらっしゃったのを知らずに折ってしまった。どうか祟りなさるな。
鑑賞
巻第十六 雑歌二 1183

詞書「返し」
 楢の葉に葉守の神がいらっしゃったのを知らずに折った、どうか祟らないでほしい、と詠んだ歌である。前歌のとがめに対し、相手を楢の葉を守る神に見立てて敬い、知らずに折った非礼を詫びるおどけた返しとなっている。
 前歌の俊子の歌に対する仲平の返しである。
 作者の「枇杷左大臣」は藤原仲平である。藤原基経の次男で、左大臣に至り、枇杷殿に住んだことからこう呼ばれた。

 初句「楢の葉の」は、楢の葉の、の意で、前歌の三句を受けている。
 二句「葉守の神の」は、葉を守る神が、の意で、柏や楢などの木に宿って葉を守るとされた神である。相手をこの神に見立てている。
 三句「ましけるを」は、いらっしゃったのを、の意で、「まし」は「あり」の尊敬語「ます」の連用形である。
 四句「知らでぞ折りし」は、知らずに折った、の意で、「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「し」で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
 結句「祟りなさるな」は、祟りをなさらないでほしい、の意で、「な」は禁止を表す。

はもりのかみ:木に宿って葉を守るとされた神
たたり:神仏などが下す災い
作者
藤原仲平
出典
後撰和歌集
前の歌
我が宿をいつならしてか楢の葉を ならし顔には折りにおこする
次の歌
帰りては声やたがはむ笛竹の つらきひとよのかたみと思へば