皆人にふみ見せけりな水無瀬川
その渡りこそまづは浅けれ
- 歌の意味
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皆に手紙を見せてしまったのだな。水無瀬川のその渡りこそ、まず浅いのだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1218
詞書「人のもとに文つかはしける男、人に見せけりと聞きてつかはしける」
皆に手紙を見せたのだな、水無瀬川のその渡りこそまず浅いのだ、と詠んだ歌である。送った手紙を相手が人に見せたと聞き、水の無い水無瀬川の浅い渡りに、相手の心の浅さをたとえている。
詞書によれば、ある人に手紙を送った男が、その人が手紙を人に見せたと聞いて送った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「皆人に」は、皆の人に、の意で、三句の「水無瀬」と音を響かせている。
二句「ふみ見せけりな」の「ふみ」は、「文」と「踏み」を掛けた掛詞で、手紙を見せたのだな、の意と、川を踏み渡る意を重ねている。「な」は詠嘆を表し、ここで句切れとなる。
三句「水無瀬川」は、摂津の国の水無瀬川で、名に「水無し」を含み、浅さを導いている。
四句「その渡りこそ」は、その渡り場こそ、の意で、「こそ」は強意の係助詞である。
結句「まづは浅けれ」は、まず浅いのだ、の意で、四句の「こそ」を受けて已然形「浅けれ」で結ぶ係り結びとなっている。相手の心の浅さをたとえている。
ふみ:「文」の意と、川を「踏み」渡る意を掛ける
みなせがは:摂津の国の川、歌枕
わたり:川を渡る場所
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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滝つ瀬のはやからぬをぞ恨みつる 見ずともおとに聞かんと思へば
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年経れば我が黒髪もしら河の みづはくむまで老いにけるかな