道なれるこのみ尋ねて心ざし
ありと見るにぞねをばましける
- 歌の意味
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仏道を成就した縁の木の実を探し求めて贈ってくださった、あなたの志が深いと見るにつけ、いっそう声をあげて泣いたことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1227
詞書「返し」
仏の道を成した木の実を探し求めてくれた志の深さを見るにつけ、声をあげて泣くことが増した、と詠んだ歌である。前歌の真延の心遣いに感謝しつつ、亡き妻をしのぶ悲しみがいっそう募ったことを伝えている。
前歌の真延法師の歌に対する、右大臣藤原師輔の返しである。
作者の「右大臣」は藤原師輔である。藤原忠平の次男で、兄の実頼とともに村上天皇の朝廷を支え、右大臣に至った。九条殿と呼ばれ、娘の安子は村上天皇の中宮となった。
初句「道なれる」は、仏の道を成就した、の意で、前歌の四句「仏になれる」を受けている。
二句「このみ尋ねて」の「このみ」は、「木の実」と「この身」を掛けた掛詞で、木の実の数珠を探し求めて、の意と、我が身を気づかって訪ねて、の意を重ねている。前歌の結句「このみ」を受けている。
三句「心ざし」は、厚い志、心遣い、の意である。
四句「ありと見るにぞ」は、あると見るにつけて、の意で、「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「ねをばましける」の「ね」は、泣く「音」と木の「根」を掛けた掛詞で、「木の実」と縁語をなしている。四句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。前歌の二句「煙やまさん」の「まさ」と呼応している。
このみ:菩提樹の「木の実」の意と、「この身」を掛ける
ね:泣く「音」の意と、木の「根」を掛ける
こころざし:相手を思う心、厚意
- 作者
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藤原師輔
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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思ひ出での煙やまさん亡き人の 仏になれるこのみ見ば君
- 次の歌
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いづこにも身をば離れぬ影しあれば 臥す床ごとに一人やは寝る