滝つ瀬の渦巻きごとに尋め来れど
なほ尋ね来る世のうきめかな
- 歌の意味
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激しい流れの渦巻くところごとに、身を隠す所を探し求めてやって来たけれども、それでもなお追い求めてやって来る、世のつらい目であることよ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1239
詞書「題しらず」
滝つ瀬の渦巻くところごとに探し求めて来たが、なお尋ねて来る世の憂き目であることよ、と詠んだ歌である。世を逃れて水辺の奥まで来ても、つらい目はどこまでも追ってくると嘆いている。
前の滝の歌に続き、滝つ瀬を詠み込んで、世を厭う心を述べている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「滝つ瀬の」は、激しく流れる瀬の、の意である。本巻の第千二百十七首、第千二百三十五首と同じ初句である。
二句「渦巻きごとに」は、渦の巻くところごとに、の意である。
三句「尋め来れど」は、探し求めてやって来たけれども、の意で、「ど」は逆接を表す。
四句「なほ尋ね来る」は、それでもなお追い求めて来る、の意で、三句の「尋め来」と同じ意の語を重ね、自分が求めて来たのと同じように、憂き目も追ってくることを表している。
結句「世のうきめかな」の「うきめ」は、「憂き目」と、水に「浮き」を掛けた掛詞で、渦に浮くものと、世のつらい目とを重ねている。「かな」は詠嘆を表す。
うきめ:つらい目に遭うことの「憂き目」の意と、水に「浮き」を掛ける
とめく:探し求めて来る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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今さらに我は帰らじ滝見つつ 呼べど聞かずと問はば答へよ
- 次の歌
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たらちめはかかれとてしもむばたまの 我が黒髪を撫でずやありけん