言の葉もなくて経にける年月に
この春だにも花は咲かなん
- 歌の意味
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言葉をかけられることもなく過ぎてきた年月であったが、せめてこの春だけでも花は咲いてほしい。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1243
詞書「題しらず」
言葉ひとつなく過ぎてきた年月だったが、せめてこの春だけでも花は咲いてほしい、と詠んだ歌である。「言の葉」の葉と「花」を縁語とし、便りも栄えもなく過ぎた年月の末に、この春こそ花開く喜びを得たいと願っている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「言の葉も」は、言葉も、の意で、「葉」は結句の「花」と縁語をなしている。
二句「なくて経にける」は、なくて過ぎてしまった、の意である。
三句「年月に」は、年月であったが、の意である。本巻の第千二百九首の「経にける年」と同じく、過ぎた年月を詠んでいる。
四句「この春だにも」は、せめてこの春だけでも、の意で、「だに」は最小限の願いを表す。
結句「花は咲かなん」は、花は咲いてほしい、の意で、「なん」は他にあつらえ望む終助詞である。
ことのは:言葉、木の葉に見立てる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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菅原やふしみの暮れに見渡せば 霞にまがふ小初瀬の山
- 次の歌
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難波津を今日こそみつの浦ごとに これやこの世をうみ渡る舟