身の憂きを知ればはしたになりぬべみ
思ひは胸のこがれのみする
- 歌の意味
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我が身のつらさを知っているので、思いを打ち明ければ中途半端なことになってしまいそうで、思いの火は胸を焦がすばかりである。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌四 1275
詞書「題しらず」
身のつらさを知っているので中途半端になりそうで、思いは胸を焦がすばかりだ、と詠んだ歌である。我が身の程を知るゆえに思いを打ち明けることもできず、胸の内で焦がれるばかりの恋心を詠んでいる。
作者の伊勢は、伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵を受け、のちに敦慶親王との間に中務を生んだ。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。
初句「身の憂きを」は、我が身のつらさを、の意である。
二句「知ればはしたに」は、知っているので、中途半端に、の意で、「はした」はどっちつかずのさまをいう。
三句「なりぬべみ」は、なってしまいそうなので、の意で、「べみ」は「べし」の語幹に「み」がついて理由を表す。
四句「思ひは胸の」は、思いは胸の、の意で、「思ひ」の「ひ」に「火」を響かせている。
結句「こがれのみする」は、焦がれるばかりである、の意で、「火」と「焦がる」は縁語である。
はした:どっちつかずで中途半端なこと
こがる:焦げる、思い焦がれる
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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心なき身は草木にもあらなくに あき来る風に疑はるらむ
- 次の歌
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雲路をも知らぬ我さへもろ声に 今日ばかりとぞなきかへりぬる