まだきから思ひ濃き色に染めむとや
若紫のねを尋ぬらん
- 歌の意味
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まだその時でもないうちから、思いの濃い色に染めようというのだろうか、若紫の根を尋ね求めているのは。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌四 1277
詞書「題しらず」
まだ早いうちから思いの濃い色に染めようとして、若紫の根を尋ねるのか、と詠んだ歌である。紫草の根で衣を濃く染めることに、年若い女に早くも思いを寄せる男の心をたとえ、その性急さをとがめているとみられる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「まだきから」は、まだその時でないうちから、の意である。
二句「思ひ濃き色に」は、思いの濃い色に、の意で、字余りとなっている。「思ひ」の「ひ」に色の「緋」を響かせ、「濃き色」と縁をなしている。
三句「染めむとや」は、染めようというのか、の意で、「や」は疑問を表す。ここで句切れとなり、下の句と倒置になっている。
四句「若紫の」は、若い紫草の、の意で、年若い女をたとえている。
結句「ねを尋ぬらん」の「ね」は、染料とする紫草の「根」と、共に「寝」る意を掛けた掛詞で、根を尋ね求めているのか、の意である。「紫」「根」「染む」は縁語である。
まだき:その時期にならないうち
わかむらさき:若い紫草、年若い女のたとえ
ね:紫草の「根」の意と、「寝」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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雲路をも知らぬ我さへもろ声に 今日ばかりとぞなきかへりぬる
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見えもせぬ深き心を語りては 人に勝ちぬと思ふものかは