あだ人の手向けに折れる桜花
逢坂までは散らずもあらなん
- 歌の意味
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移ろいやすい人への手向けとして折った桜の花よ、せめて逢坂の関までは散らずにいてほしい。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1305
詞書「あひ知りて侍りける人の東の方へまかりけるに、桜の花のかたに幣をしてつかはしける」
あだな人への手向けに折った桜花よ、逢坂までは散らずにいてほしい、と詠んだ歌である。東国へ旅立つ人に桜の花の形にこしらえた幣を贈り、散りやすい桜に、離れれば心も移ろいやすい相手を重ね、せめて都を出る逢坂までは変わらずにと願っているとみられる。
詞書によれば、親しくしていた人が東国へ下る時に、桜の花の形に幣をこしらえて贈った歌である。幣を手向ける歌は、本巻の第千三百三十七首、第千三百三十八首にも見える。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「あだ人の」は、移ろいやすい人の、の意で、旅立つ相手を指すとみられる。三句の「桜花」の散りやすさとも響き合っている。
二句「手向けに折れる」は、手向けとして折った、の意で、詞書の桜の形の幣を指している。
三句「桜花」は、桜の花よ、の意で、呼びかけている。
四句「逢坂までは」は、逢坂の関までは、の意で、逢坂は都から東国へ向かう最初の関である。「逢ふ」の意を響かせている。
結句「散らずもあらなん」は、散らずにいてほしい、の意で、「なん」は他にあつらえ望む終助詞である。
あだびと:移り気な人、誠実でない人
たむけ:旅の安全を祈って道の神に供えるもの
ぬさ:神に手向ける供え物、布や紙を細かく切ったもの
あふさか:山城と近江の境の関、都から東国へ向かう関
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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折々に打ちて焚く火の煙あらば 心ざすかをしのべとぞ思ふ
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思ひやる心ばかりはさはらじを 何隔つらん峰の白雲