別れゆくみちの雲居になりゆけば
とまる心も空にこそなれ
- 歌の意味
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別れて行く道が、陸奥の雲のかなたほど遠くなってゆくので、都にとどまる私の心も、うわの空になってしまう。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1324
詞書「陸奥へまかりける人に、扇調じて歌絵に描かせ侍りける」
別れて行く道が雲のかなたになってゆくので、とどまる心も空になる、と詠んだ歌である。陸奥へ遠ざかってゆく人を見送り、雲のかなたへ去る人を思って、都に残る自分の心までうわの空になると詠んでいる。
詞書によれば、陸奥へ下る人に扇をこしらえて、その扇に歌絵として描かせた歌である。本巻の第千三百三十首も、旅立つ人に扇を贈る歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「別れゆく」は、別れて行く、の意である。
二句「みちの雲居に」の「みち」は、「道」と「陸奥」の「みち」を掛けた掛詞で、旅の道が雲のかなたほど遠くなる意と、行き先の陸奥を重ねている。
三句「なりゆけば」は、なってゆくので、の意で、「ば」は原因、理由を表す。
四句「とまる心も」は、都にとどまる私の心も、の意で、旅立つ人と残る者とを対比している。
結句「空にこそなれ」は、うわの空になる、の意で、「雲居」と「空」は縁語である。「こそ」を受けて已然形「なれ」で結ぶ係り結びとなっている。
くもゐ:雲のある所、はるか遠く離れた所
みち:「道」の意と、「陸奥」を掛ける
うたゑ:歌の意を絵に描き、歌を書き添えたもの
てうず:調える、こしらえる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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身一つにあらぬばかりをおしなべて 行きめぐりてもなどか見ざらん
- 次の歌
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いかでなほ笠取山に身をなして 露けき旅に添はむとぞ思ふ