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いかでなほ笠取山に身をなして
露けき旅に添はむとぞ思ふ

歌の意味
なんとかして、やはり笠取山に身を変えて、露に濡れがちなあなたの旅に笠として付き添いたいと思う。
鑑賞
巻第十九 離別歌 1325

詞書「宗于朝臣の娘、陸奥へ下りけるに」
 なんとかして笠取山に身を変えて、露けき旅に添いたいと思う、と詠んだ歌である。陸奥へ下る女に、山の名の「笠」にちなんで、露に濡れる旅路で笠となって守りたいと、同行できない思いを託している。
 詞書によれば、源宗于の娘が陸奥へ下った時に詠んだ歌である。次歌は宗于の娘の返しで、二首は贈答の一組となっている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「いかでなほ」は、なんとかして、やはり、の意である。
 二句「笠取山に」は、山城の国の笠取山に、の意で、山の名の「笠」に旅人を雨露から守る笠を重ねている。
 三句「身をなして」は、身を変えて、の意である。
 四句「露けき旅に」は、露に濡れがちな旅に、の意で、涙に濡れる旅の意も含んでいる。「露」は「笠」の縁語である。
 結句「添はむとぞ思ふ」は、付き添おうと思う、の意で、「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結ぶ係り結びとなっている。

かさとりやま:山城の国の山、名に「笠」を含む歌枕
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
別れゆくみちの雲居になりゆけば とまる心も空にこそなれ
次の歌
笠取の山と頼みし君をおきて 涙の雨に濡れつつぞ行く