添へてやる扇の風し心あらば
我が思ふ人の手をな離れそ
- 歌の意味
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旅立つ人に添えて贈るこの扇の風よ、もし心があるならば、私の思う人の手を離れないでおくれ。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1330
詞書「旅にまかりける人に、扇つかはすとて」
添えて贈る扇の風に心があるなら、私の思う人の手を離れるな、と詠んだ歌である。旅立つ人に扇を贈り、扇の風に呼びかけて、いつも相手の手元にあって自分の代わりに寄り添ってほしいと願っている。
詞書によれば、旅に出る人に扇を贈るにあたって添えた歌である。本巻の第千三百二十四首も、陸奥へ下る人に扇を贈った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「添へてやる」は、旅立つ人に添えて贈る、の意である。
二句「扇の風し」は、扇の風よ、の意で、「し」は強意の副助詞である。
三句「心あらば」は、心があるならば、の意で、「ば」は仮定を表す。風を擬人化している。
四句「我が思ふ人の」は、私の思う人の、の意である。
結句「手をな離れそ」は、手を離れないでおくれ、の意で、「な〜そ」は禁止を表す。扇は手に持つものであることを踏まえている。
あふぎ:扇
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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別れ路は心もゆかず唐衣 着れば涙ぞ先にたちける
- 次の歌
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君をのみしのぶの里へ行くものを あひづの山のはるけきやなぞ