名にし負はばあだにぞ思ふたはれ島
波のぬれぎぬいく夜着つらん
- 歌の意味
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たわむれという名を持っているのなら、浮ついた島だと思う。たわれ島よ、それなのに波に濡れた衣、無実の濡れ衣を、幾夜着てきたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1351
詞書「たはれ島を見て」
名を負うならば浮気な島と思う、たわれ島は、波の濡れ衣を幾夜着たのだろうか、と詠んだ歌である。「たわれ」という戯れを思わせる名の島を見て、名のとおりなら浮気な島と思うが、実は波に濡れ続けて、無実の濡れ衣を着せられてきたのだろうと興じている。
詞書によれば、たわれ島を見て詠んだ歌である。伊勢物語の第六十一段にも、筑紫でのこととして同じ歌が見える。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「名にし負はば」は、その名を持っているのならば、の意で、「し」は強意の副助詞である。字余りとなっている。
二句「あだにぞ思ふ」は、浮ついたものと思う、の意で、「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
三句「たはれ島」は、肥後の国の島の名で、「戯れ」の意を響かせている。
四句「波のぬれぎぬ」の「ぬれぎぬ」は、波に濡れた衣の意と、無実の罪の意を掛けた掛詞である。
結句「いく夜着つらん」は、幾夜着てきたのだろうか、の意で、「らん」は疑問の推量を表す。「着る」は「ぬれぎぬ」の縁語である。
たはれじま:肥後の国の島の名、「戯れ」の意を響かせる
ぬれぎぬ:波に濡れた衣の意と、無実の罪の意を掛ける
あだ:浮ついていること、誠実でないこと
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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初瀬川渡る瀬さへや濁るらん 世にすみがたき我が身と思へば
- 次の歌
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いとどしく過ぎゆく方の恋しきに うらやましくも帰る波かな