草枕結ふ手ばかりは何なれや
露も涙もおきかへりつつ
- 歌の意味
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旅寝の草枕を結ぶ手ばかりは、どうしたことか、露も涙も置いては、そのたびに私は起き返ってばかりいる。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1366
詞書は前の歌に続き「京に思ふ人侍りて、遠き所より帰りまうで来ける道にとどまりて、九月ばかりに」
草枕を結ぶ手ばかりはどうしたことか、露も涙も置いては起き返る、と詠んだ歌である。都の恋しい人を思って旅寝をしながら、草枕を結ぶ手に露も涙も置き、眠れずに繰り返し起き返ると、帰郷を前にした落ち着かない夜を詠んでいる。
詞書によれば、前歌と同じ折、都に恋しい人を残して遠い所から帰る途中の旅寝で詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「草枕」は、草を結んで作る旅寝の枕で、旅寝を表す。
二句「結ふ手ばかりは」は、草枕を結ぶ手だけは、の意である。
三句「何なれや」は、どうしたことか、の意で、「や」は疑問を表す。ここで句切れとなる。
四句「露も涙も」は、露も涙も、の意で、草に置く露と、恋しさにこぼれる涙を並べている。
結句「おきかへりつつ」の「おき」は、露や涙が「置き」と、寝床から「起き」を掛けた掛詞で、繰り返し置いては起き返る、の意である。「つつ」は反復を表す。
おく:露が「置く」意と、寝床から「起く」意を掛ける
ゆふ:結ぶ、束ねる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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思ふ人ありて帰ればいつしかの 妻待つ宵の声ぞ悲しき
- 次の歌
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秋山に惑ふ心を宮滝の 滝の白泡に消ちや果ててむ