うしろめたいかで帰らん山桜
あかぬにほひを風にまかせて
- 歌の意味
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気がかりなことだ。どうして帰れようか、山桜よ。見飽きることのない美しさを、風に任せたままで。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1053
詞書「石山の堂の前に侍りける桜の木に書きつけ侍りける」
気がかりでどうして帰れようか、山桜よ、見飽きることのない美しさを風に任せたままでと詠む歌である。詞書から、石山寺の堂の前の桜の木に書きつけた歌とわかる。参詣を終えて帰ろうとしながらも、見飽きない山桜を散らす風が気がかりで、立ち去りがたい名残の思いを詠んでいる。前の二首に続き、山桜を詠む歌である。
初句「うしろめた」は、気がかりだ、の意で、形容詞「うしろめたし」の語幹を用いた詠嘆の表現である。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「いかで帰らん」は、どうして帰れようか、の意で、反語を表す。ここで再び句切れとなる。
三句「山桜」は、山桜よ、と呼びかける句で、前の二首の第千五十一首、第千五十二首に続く山桜の歌である。
四句「あかぬにほひを」は、見飽きることのない美しさを、の意である。
結句「風にまかせて」は、風の吹くのに任せたままで、の意で、二句の「帰らん」の理由を倒置して示している。
にほひ:匂ひ。色の美しさ、つややかな美しさ
いしやま:石山。近江国の石山寺
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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片山に畑焼く男かの見ゆる み山桜はよきて畑焼け
- 次の歌
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久しかれあだに散るなと桜花 瓶に挿せれど移ろひにけり