- 歌の意味
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山の斜面で畑を焼く男よ、あそこに見える奥山の桜は避けて、畑を焼け。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1052
詞書「こむく打ち侍りける時に、畑焼き侍りけるを見て、詠み侍りける」
山の斜面で畑を焼く男よ、あそこに見える山桜は避けて焼けと呼びかけた歌である。詞書から、こむくを打って歩いていた折に、焼き畑をしているのを見て詠んだ歌とわかる。こむくは金鼓のことで、金鼓を打ち鳴らして歩くことをいうとみられる。焼き畑の火が山桜に及ぶのを案じ、花を惜しむ心を、畑を焼く男への素朴な呼びかけの形で詠んでいる。
作者の藤原長能は、藤原倫寧の子で、藤原道綱母の弟にあたる。花山天皇の側近として仕え、上総介、伊賀守などを務めた。能因法師に歌を教え、歌道の師弟関係の初めとされる。中古三十六歌仙の一人である。
初句「片山に」は、山の斜面で、の意である。
二句「畑焼く男」は、畑を焼く男よ、の意で、男への呼びかけとなっている。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「かの見ゆる」は、あそこに見える、の意で、四句の「み山桜」にかかる。
四句「み山桜は」は、奥山の桜は、の意で、前歌の第千五十一首の初句「み山木の」と「み山」の語を共有している。
結句「よきて畑焼け」は、避けて畑を焼け、の意で、「焼け」は命令形である。二句の「畑焼く」を結句で「畑焼け」と繰り返し、呼びかけを強めている。
かたやま:片山。山の斜面
よく:避く。避ける
こむく:金鼓。仏前で打ち鳴らす鉦鼓の類とみられる
- 作者
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藤原長能
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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み山木の二葉三葉にもゆるまで 消えせぬ雪と見えもするかな
- 次の歌
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うしろめたいかで帰らん山桜 あかぬにほひを風にまかせて