抜けば散る抜かねば乱るあしひきの
山より落つる滝の白玉
- 歌の意味
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糸に貫こうとすれば散ってしまい、貫かなければばらばらに乱れる。山から落ちる滝の白玉のようなしぶきは。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1036
詞書「屏風に、滝落ちたる所を詠める」
屏風に描かれた、滝の落ちている場面を詠んだ屏風歌である。貫けば散り、貫かなければ乱れる、山から落ちる滝の白玉は、と詠む。滝のしぶきを白玉に見立て、糸に通そうとすれば散ってしまい、通さなければばらばらに乱れ飛ぶと、とらえようのない滝の水しぶきの美しさを機知をもって描いている。
作者の「藤原長能」は藤原倫寧の子である。藤原道綱母の弟にあたり、花山院に仕えた。能因の和歌の師とされる。中古三十六歌仙の一人である。
滝のしぶきを白玉に見立てる趣向は、『古今和歌集』の在原業平の「ぬき乱る人こそあるらし白玉のまなくも散るか袖のせばきに」などに見られる。前歌の第千三十五首が滝の音を詠むのに対し、本歌は滝のしぶきの姿を詠む。
初句「抜けば散る」の「抜く」は、糸に玉を通す、貫く意で、糸に通そうとすれば散る、の意である。
二句「抜かねば乱る」は、貫かなければ乱れる、の意で、初句と対句をなしている。
三句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
四句「山より落つる」は、山から落ちる、の意である。
結句「滝の白玉」は、滝のしぶきを白い玉に見立てたもので、体言止めとなっている。上の句全体が倒置となって結句にかかる。
ぬく:糸に玉を通す、貫く
しらたま:白い玉、真珠。ここでは滝のしぶき
- 作者
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藤原長能
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ
- 次の歌
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水の色のただ白雲と見ゆるかな 誰さらしけん布引の滝