思ふこと岩間に蒔きし松の種
千代と契らむ今はねさせよ
- 歌の意味
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私の思いは、岩間に蒔いた松の種のようなものだ。千代までもと契ろう。今はもう根を下ろさせてほしい、共に寝させてほしい。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 656
詞書「人に遣はしける」
人のもとに贈った歌である。私の思いは岩間に蒔いた松の種だ、千代までもと契ろう、今は根を下ろさせよ、と詠む。固い岩の間に蒔いた松の種に、なかなか受け入れられない自分の思いをたとえ、千年の寿命を持つ松に寄せて変わらぬ契りを誓うとともに、「根」に「寝」を響かせ、今こそ共寝を許してほしいと迫っている。
作者の「藤原長能」は藤原倫寧の子である。「蜻蛉日記」の作者である藤原道綱母の兄弟にあたる。花山院の歌壇で活躍し、能因法師の歌の師としても知られる。
初句「思ふこと」は、私の恋の思いは、の意である。
二句「岩間に蒔きし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、岩の間に蒔いた、の意である。固い岩は相手の心のかたくなさを思わせる。
三句「松の種」は、私の思いを岩間に蒔いた松の種にたとえる。ここで句切れとなる。
四句「千代と契らむ」の「む」は意志の助動詞で、千代までもと契ろう、の意である。松の千年の寿命に寄せる。
結句「今はねさせよ」の「ね」は、松が「根」を下ろす意と、「寝」る意を掛ける。「させよ」は使役の命令形で、根を下ろさせよ、共に寝させよ、の意である。
ね:松の根の意と、寝る意を掛ける
ちぎる:将来を固く約束する
- 作者
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藤原長能
- 出典
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千載和歌集
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水籠りに言はでふる屋の忍ぶ草 しのぶとだにも知らせてしかな
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おぼつかなうるまの島の人なれや 我が言の葉を知らぬ顔なる