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宿見れば寝ても覚めても恋しくて
夢うつつとも分かれざりけり

歌の意味
この家を見ると、寝ても覚めても亡き人が恋しくて、夢か現実かも区別がつかないのだった。
鑑賞
巻第二十 慶賀歌 1388

詞書「返し」
 家を見ると寝ても覚めても恋しくて、夢とも現実とも区別がつかなかった、と詠んだ歌である。前歌の「宿」と「夢」を受け、亡き人の家を見るにつけ、寝ても覚めても恋しさに沈み、夢か現実かもわからないと答えている。
 前歌の太政大臣藤原忠平の歌に対する返しである。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「宿見れば」は、家を見ると、の意で、前歌の四句「宿」を受けている。
 二句「寝ても覚めても」は、寝ていても目覚めていても、の意である。
 三句「恋しくて」は、亡き人が恋しくて、の意である。
 四句「夢うつつとも」は、夢とも現実とも、の意で、前歌の二句「夢」を受けている。
 結句「分かれざりけり」は、区別がつかないのだった、の意で、「けり」は気づきを表す。

うつつ:現実、目が覚めている状態
わかる:区別がつく
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
春の夜の夢のなかにも思ひきや 君なき宿を行きて見むとは
次の歌
はかなくて世に経るよりは山科の 宮の草木とならましものを