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聞く人もあはれてふなる別れには
いとど涙ぞ尽きせざりける

歌の意味
聞く人さえもあわれだと言うという別れには、ますます涙が尽きることがないのだった。
鑑賞
巻第二十 慶賀歌 1395

詞書「返し」
 聞く人もあわれだと言う別れには、ますます涙が尽きない、と詠んだ歌である。前歌の涙も尽きたのではという思いやりを受け、他人さえあわれむ別れなので、涙は尽きるどころか、いっそう尽きることがないと答えている。
 前歌の伊勢の歌に対する返しである。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「聞く人も」は、聞く人さえも、の意で、前歌の「聞く」を受けている。
 二句「あはれてふなる」は、あわれだと言うという、の意で、「てふ」は「といふ」の縮まった形、「なる」は伝聞を表す。
 三句「別れには」は、死別には、の意である。
 四句「いとど涙ぞ」は、ますます涙が、の意で、「ぞ」は強意の係助詞である。
 結句「尽きせざりける」は、尽きることがないのだった、の意で、四句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。前歌の結句「尽きやしぬらむ」に応じている。

つきす:尽きてなくなる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
ここら世を聞くが中にも悲しきは 人の涙も尽きやしぬらむ
次の歌
いたづらに今日や暮れなむ新しき 春の始めは昔ながらに