泣く涙ふりにし年の衣手は
新しきにも変はらざりけり
- 歌の意味
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泣く涙が降りそそぎ、古びてしまった去年の喪の衣の袖は、新しい年になっても変わらずに濡れたままであった。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1397
詞書「返し」
泣く涙が降った去年の衣の袖は、新しい年にも変わらなかった、と詠んだ歌である。前歌の「新しき」を受け、年が改まっても、先帝を悼んで涙に濡れた袖は少しも変わらないと、尽きない悲しみを返している。
前歌の三条右大臣藤原定方の歌に対する返しである。
作者の「兼輔朝臣」は藤原兼輔である。藤原利基の子で、中納言に至った。賀茂川の堤に邸があったことから堤中納言と呼ばれ、三十六歌仙の一人に数えられる。紫式部の曾祖父にあたり、小倉百人一首には「みかの原わきて流るるいづみ川」の歌が採られている。
初句「泣く涙」は、泣いて流す涙が、の意である。
二句「ふりにし年の」の「ふり」は、涙が「降り」と、年が「古り」を掛けた掛詞で、涙の降った過ぎ去った年の、の意である。
三句「衣手は」は、衣の袖は、の意である。
四句「新しきにも」は、新しい年になっても、の意で、前歌の三句「新しき」を受けている。
結句「変はらざりけり」は、変わらなかったことだ、の意で、「けり」は気づきを表す。前歌の「昔ながらに」に応じている。
ふる:涙が「降る」意と、年が「古る」意を掛ける
ころもで:衣の袖
- 作者
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藤原兼輔
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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いたづらに今日や暮れなむ新しき 春の始めは昔ながらに
- 次の歌
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人の世の思ひにかなふものならば 我が身は君に後れましやは