なき人のともにし帰る年ならば
暮れゆく今日は嬉しからまし
- 歌の意味
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亡き人が年とともに帰って来る年であるならば、暮れてゆく今日は嬉しいことだろうに。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1424
詞書「妻の身まかりての年の師走のつごもりの日、古言言ひ侍りけるに」
亡き人が年とともに帰る年であるならば、暮れゆく今日は嬉しいだろうに、と詠んだ歌である。妻を亡くした年の大晦日、年は改まって帰って来ても、亡き妻は帰らないと、年の暮れに募る悲しみを詠んでいる。
詞書によれば、妻が亡くなった年の十二月の末日に、昔のことを語り合った折に詠んだ歌である。次歌は紀貫之の返しで、二首は贈答の一組となっている。
作者の「兼輔朝臣」は藤原兼輔である。藤原利基の子で、中納言に至った。賀茂川の堤に邸があったことから堤中納言と呼ばれ、三十六歌仙の一人に数えられる。紫式部の曾祖父にあたり、小倉百人一首には「みかの原わきて流るるいづみ川」の歌が採られている。
初句「なき人の」は、亡くなった人が、の意である。
二句「ともにし帰る」は、年とともに帰って来る、の意で、「し」は強意の副助詞である。年が改まることを「年が帰る」ということを踏まえている。
三句「年ならば」は、年であるならば、の意で、「ば」は仮定を表す。
四句「暮れゆく今日は」は、暮れてゆく大晦日の今日は、の意である。
結句「嬉しからまし」は、嬉しいことだろうに、の意で、三句の「ならば」と呼応して反実仮想を表す。
しはす:陰暦十二月
つごもり:月の末日
ふるごと:昔のこと、思い出話
- 作者
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藤原兼輔
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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なく声に添ひて涙はのぼらねど 雲の上より雨と降るらむ
- 次の歌
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恋ふる間に年の暮れなばなき人の 別れやいとど遠くなりなむ