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あらたまの年立ち返る朝より
待たるるものは鶯の声

歌の意味
年が改まった元日の朝から、自然と待ち遠しく思われるのは鶯の声である。
鑑賞
巻第一 春歌 5

詞書「延喜御時月次御屏風に」
 新しい年が立ち返った元日の朝から、早くも鶯の初音が待ち遠しく思われる心を詠む。春の到来を告げる鶯への期待が、年の初めの改まった気分とともに表されている。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代に作られた月次の屏風に添えた歌であり、正月の絵にふさわしい内容である。
 作者の「素性法師」は僧正遍昭の子で、出家して雲林院などに住んだ。三十六歌仙の一人に数えられる。

 初句「あらたまの」は「年」にかかる枕詞で、本巻の第二首と同じ枕詞によって新年の到来を詠み継いでいる。
 二句「年立ち返る」は、年が改まって新年になることをいう。
 三句「朝より」は、元日の朝からの意で、年が明けたその時から待つ心が始まることを示す。
 四句「待たるるものは」は、「るる」が自発の助動詞で、自然と待たれてしまう気持ちを表す。
 結句「鶯の声」は体言止めで、待たれるものを最後に示して余韻を残す。次歌も同じく「鶯の声」で結び、二首が並べられている。

たちかへる:元に戻る。ここでは年が改まって新年になること
作者
素性
出典
拾遺和歌集
前の歌
吉野山峰の白雪いつ消えて 今朝は霞の立ちかはるらん
次の歌
氷だにとまらぬ春の谷風に まだうちとけぬ鶯の声