- 歌の意味
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氷さえとどまることなく解けてしまう春の谷風の中で、まだ打ち解けずにいる鶯の声であることよ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 6
詞書「天暦御時歌合に」
谷の氷さえ溶かしてしまう春風が吹いているのに、鶯の声はまだのびやかにならずにいる、と早春の情景を詠む。氷が解けることと鶯の声が打ち解けることを重ね、季節の進みと鶯の初々しさとの対照をとらえている。詞書によれば、村上天皇の天暦の御代に催された歌合に出された歌である。
作者の「源順」は嵯峨源氏の出で、平安時代中期の学者、歌人である。梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進に関わり、和名類聚抄を編んだ。三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「氷だに」は、「だに」が類推の副助詞で、固い氷でさえ、という意を表す。
二句「とまらぬ春の」は、氷さえとどまることなく解けてしまう春の、の意である。
三句「谷風に」は、谷を吹きわたる春風で、春の風が氷を解かすという古来の考えを踏まえる。
四句「まだうちとけぬ」は、氷が解ける意と、鶯の声が打ち解ける意を掛けた掛詞である。氷は解けたのに、鶯はまだのびやかに鳴かないという対比を生む。
結句「鶯の声」は体言止めで、前歌と同じ結句を共有する。前歌が鶯の声を待つ心を詠むのに対し、本歌は鳴き始めた声のぎこちなさをとらえ、待つ段階から聞く段階へと進めている。
うちとく:氷が解ける意と、心がのびやかになる、くつろぐ意を掛ける
- 作者
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源順
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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あらたまの年立ち返る朝より 待たるるものは鶯の声
- 次の歌
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春立ちて朝の原の雪見れば まだふる年の心地こそすれ