うち霧らし雪は降りつつしかすがに
わが家の園に鶯ぞ鳴く
- 歌の意味
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空一面を曇らせて雪は降り続いているが、それでもやはり、我が家の庭に鶯が鳴いている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 11
詞書「鶯を詠み侍りける」
空をかき曇らせて雪が降り続くなかでも、我が家の庭では鶯が鳴いていると、冬の名残と春の兆しが同時にある情景を詠む。雪にもかかわらず鳴く鶯に、確かな春の訪れを感じ取っている。詞書によれば、鶯を題として詠んだ歌である。
作者の「大伴家持」は奈良時代の歌人で、大伴旅人の子である。万葉集の編纂に深く関わったとされ、三十六歌仙の一人に数えられる。
万葉集巻八に家持の歌として、結句を「鶯鳴くも」とする形で見える。
初句「うち霧らし」は、空一面を曇らせての意で、「うち」は接頭語である。
二句「雪は降りつつ」は、「つつ」が継続を表し、雪が降り続くさまを示す。
三句「しかすがに」は、そうはいってもやはり、の意で、上の雪の景と下の鶯の声を逆接でつなぐ。
四句「わが家の園に」は、自分の家の庭の意で、字余りとなる。
結句「鶯ぞ鳴く」は、「ぞ」の係り結びで連体形「鳴く」で結ぶ。前歌の雪の消えぬ山里の鶯に対し、本歌は我が家の庭で雪の中に鳴く鶯をとらえる。
きらす:霧や雲で空を曇らせる
その:庭。庭園
- 作者
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大伴家持
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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鶯の声なかりせば雪消えぬ 山里いかで春を知らまし
- 次の歌
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梅の花それとも見えず久方の 天霧るこのなべて降れれば