春の野にあさる雉の妻恋ひに
おのがありかを人に知れつつ
- 歌の意味
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春の野で餌をあさる雉は、妻を恋い慕って鳴くために、自分の居場所を人に知られてしまっている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 21
詞書「題しらず」
春の野で餌をあさる雉が、妻を求めて鳴く声のために、かえって自分の居場所を人に知られてしまうと詠む。恋に夢中になるあまり身を隠すことを忘れる雉の姿に、哀れと共感が込められている。
作者の「大伴家持」は奈良時代の歌人で、大伴旅人の子である。万葉集の編纂に深く関わったとされ、三十六歌仙の一人に数えられる。
万葉集巻八に家持の歌として、四句を「おのがあたりを」とする形で見える。
初句「春の野に」は、春の野辺を舞台として示す。
二句「あさる雉の」は、「あさる」が餌を探し求める意である。
三句「妻恋ひに」は、妻を恋い慕って鳴くことをいい、雉の鳴き声の理由を示す。
四句「おのがありかを」は、自分の居場所を、の意で、身を隠すべき雉が自ら居所を明かす皮肉をいう。
結句「人に知れつつ」は、「つつ」が反復継続を表し、鳴くたびに人に知られることを示す。「つつ」で止めて余情を残している。
あさる:餌を探し求める
ききす:雉の古い呼び名
つまごひ:配偶を恋い慕うこと
- 作者
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大伴家持
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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春日野に多くの年はつみつれど 老いせぬものは若菜なりけり
- 次の歌
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松の上に鳴く鶯の声をこそ はつねの日とは言ふべかりけれ