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梅の花よそながら見む吾妹子が
とがむばかりの香にもこそしめ

歌の意味
梅の花は離れたところから見よう。いとしい妻がとがめるほどの香りが、身に染みついては困るから。
鑑賞
巻第一 春歌 27

詞書「題しらず」
 梅の花に近づくと香りが衣に染みて、妻にどこで誰と会っていたのかと疑われかねないので、離れたところから眺めようという歌である。梅の香の強さを、妻の嫉妬に結びつけたユーモアのある趣向である。

 初句「梅の花」は、見る対象を示す。
 二句「よそながら見む」は、離れたところから見ようの意で、「む」は意志を表す。二句切れである。
 三句「吾妹子が」は、わが妻がの意である。本巻の第十七首の「妹」と同じく、梅の花と女性とを取り合わせる。
 四句「とがむばかりの」は、とがめるほどの、の意である。
 結句「香にもこそしめ」は、「もこそ」が、そうなっては困るという危惧を表し、香りが染みつくといけないから、の意である。「しめ」は「しむ」の已然形で、「こそ」の係り結びとなる。

わぎもこ:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
とがむ:非難する。問いただす
しむ:香りや色が染みつく
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
摘みたむることのかたきは鶯の 声する野辺の若菜なりけり
次の歌
袖垂れていざわが園に鶯の 木伝ひ散らす梅の花見む