古典和歌stream

朝まだき起きてぞ見つる梅の花
夜の間の風のうしろめたさに

歌の意味
朝早くに起きて見たことだ、梅の花を。夜の間に吹いた風のことが気がかりで。
鑑賞
巻第一 春歌 29

詞書「題しらず」
 夜のうちに吹いた風で梅の花が散ってしまったのではないかと気がかりで、朝早く起きて見に行ったと詠む。花を惜しむ心を、早起きという具体的な行動で表している。
 作者の「兵部卿元良親王」は陽成天皇の第一皇子で、兵部卿を務めた。風流を好む人として知られ、家集の元良親王集が伝わる。

 初句「朝まだき」は、夜の明けきらない早朝の意である。
 二句「起きてぞ見つる」は、「ぞ」の係り結びで連体形「つる」で結び、二句切れである。
 三句「梅の花」は、見た対象を示し、倒置の構成で結句の理由へ続く。
 四句「夜の間の風の」は、夜の間に吹いた風を示し、次歌から続く風と梅の歌を先導する。
 結句「うしろめたさに」は、気がかりなので、の意で、早起きの理由を倒置して示す。

あさまだき:朝早く。夜が明けきらない頃
うしろめたさ:気がかりなこと。不安
作者
元良親王
出典
拾遺和歌集
前の歌
袖垂れていざわが園に鶯の 木伝ひ散らす梅の花見む
次の歌
吹く風を何いとひけん梅の花 散りくる時ぞ香はまさりける