吹く風を何いとひけん梅の花
散りくる時ぞ香はまさりける
- 歌の意味
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吹く風をどうして嫌ったのだろうか。梅の花は、散ってくる時にこそ香りがまさるのだった。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 30
詞書「題しらず」
花を散らすからと風を嫌っていたが、梅の花が風に散ってくるときこそ香りがいっそう強まるのだと、風を見直す歌である。花を惜しむ常套の心を一転させ、散る花の香に新たな趣を見いだしている。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、紀貫之と並び称された。三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「吹く風を」は、嫌う対象としての風を示す。前歌が夜の風を気がかりとしたのを受けている。
二句「何いとひけん」は、「けん」が過去推量の助動詞で、どうして嫌ったのだろうかと自らを省みる。二句切れである。
三句「梅の花」は、風によって散る花を示す。
四句「散りくる時ぞ」は、散って舞い寄ってくる時を示し、「ぞ」の係り結びで結句の連体形「ける」で結ぶ。
結句「香はまさりける」は、香りがまさるのだった、という気づきを表す。
いとふ:嫌う。避けたがる
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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朝まだき起きてぞ見つる梅の花 夜の間の風のうしろめたさに
- 次の歌
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匂ひをば風に添ふとも梅の花 色さへあやなあだに散らすな