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近くてぞ色もまされる青柳の
糸はよりてぞ見るべかりける

歌の意味
近くで見てこそ色もいっそう美しく見える青柳の糸は、近寄って見るべきであった。
鑑賞
巻第一 春歌 33

詞書「屏風に」
 遠くからではわからない青柳の美しい色も、近くで見るといっそう鮮やかになると気づき、柳の枝は近寄って見るべきだと詠む。詞書によれば、屏風に添えた歌である。
 作者の「大中臣能宣」は伊勢神宮の祭主を務めた家の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進に関わった。三十六歌仙の一人に数えられる。

 初句「近くてぞ」は、近くで見るときにこそ、の意で、「ぞ」の係り結びで二句の連体形「まされる」で結ぶ。
 二句「色もまされる」は、色もいっそう美しくなる意である。
 三句「青柳の」は、前歌に続く青柳の歌である。
 四句「糸はよりてぞ」は、柳を糸に見立て、近くに「寄る」意と糸を「縒る」意を掛ける。前歌の「よる」と同じ掛詞を受けている。
 結句「見るべかりける」は、見るべきであったのだ、の気づきを表し、四句の「ぞ」を受けて連体形で結ぶ。

よる:近くに寄る意と、糸をよじり合わせる意を掛ける
作者
大中臣能宣
出典
拾遺和歌集
前の歌
ともすれば風のよるにぞ青柳の 糸はなかなか乱れそめける
次の歌
青柳の花田の糸をより合はせて 絶えずも鳴くか鶯の声