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花の木を植ゑしもしるく春来れば
わが宿過ぎて行く人ぞなき

歌の意味
花の木を植えたかいがはっきりと表れて、春が来ると、我が家を素通りして行く人はいない。
鑑賞
巻第一 春歌 52

詞書「円融院御時三尺御屏風に」
 花の木を植えておいたかいがあって、春になると道行く人が誰も我が家を素通りしないと詠む。前歌の山里の花に続き、花が人を招くことを我が家の喜びとして描いている。詞書によれば、円融天皇の御代の三尺の屏風に添えた歌である。
 作者の「平兼盛」は平安時代中期の歌人で、光孝天皇の流れをくみ、篤行王の子として平の姓を賜った。三十六歌仙の一人に数えられる。

 初句「花の木を」は、花の咲く木を示す。
 二句「植ゑしもしるく」は、「しるし」がはっきりしている、効果がある意で、植えたかいがはっきりと表れて、の意である。
 三句「春来れば」は、本巻の第四十五首、第四十六首と同じ句である。
 四句「わが宿過ぎて」は、自分の家を通り過ぎて、の意である。
 結句「行く人ぞなき」は、「ぞ」の係り結びで連体形「なき」で結ぶ。前歌が山里に人を見る喜びを詠んだのと響き合う。

うう:植える
やど:家。住まい
作者
平兼盛
出典
拾遺和歌集
前の歌
訪ふ人もあらじと思ひし山里に 花のたよりに人目見るかな
次の歌
桜色にわが身は深くなりぬらん 心にしめて花を惜しめば