花の色に染めしたもとの惜しければ
衣替へ憂き今日にもあるかな
- 歌の意味
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花の色に染めた袂が惜しいので、衣を替えるのがつらい今日であることよ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 81
詞書「冷泉院の東宮におはしましける時、百首歌奉れと仰せられければ」
衣替えの日に、春の花の色に染めた衣を脱ぐのが惜しく、衣替えが気の進まない今日であると詠む。衣の色に春の名残を託し、過ぎ去る春への愛惜を夏の初日の心として表している。詞書によれば、冷泉院がまだ東宮であった頃、百首歌を奉るよう命じられて詠んだ歌であり、いわゆる重之百首の一首である。
作者の「源重之」は、清和源氏の出で、平安時代中期の歌人である。冷泉天皇の東宮時代に帯刀先生として仕え、のちに地方官を歴任した。三十六歌仙に数えられる。
初句「花の色に」は、春の花の色に、の意で、四月一日の衣替えの前に着ていた春の衣の色をいう。
二句「染めしたもとの」は、染めた袂が、の意である。「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、春の間その衣を着ていたことを示す。
三句「惜しければ」は、惜しいので、の意で、「ば」は確定条件を表し、下の句の理由となる。
四句「衣替へ憂き」は、衣を替えるのがつらい、の意である。前々歌の第七十九首が薄い夏衣を着た軽やかさを詠んだのに対し、本歌は脱ぐ側の惜しさを詠み、衣替えを表と裏から描いている。
結句「今日にもあるかな」は、衣替えの当日である今日をいい、「かな」は詠嘆の終助詞である。
たもと:着物の袖。袂
ころもがへ:季節に合わせて衣服を改めること。陰暦四月一日に夏の装束に替えた
- 作者
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源重之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我が宿の垣根や春を隔つらん 夏来にけりと見ゆる卯の花
- 次の歌
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花散るといとひしものを夏衣 たつや遅きと風を待つかな