郭公いたくな鳴きそ独り居て
寝の寝られぬに聞けば苦しも
- 歌の意味
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ほととぎすよ、そんなにひどく鳴かないでおくれ。独りでいて眠れずにいるときに聞くと、つらいのだから。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 120
詞書「題しらず」
独りで眠れずにいる夜に、ほととぎすの声を聞くとつらいので、そんなに鳴かないでほしいと願う歌である。ほととぎすの声が独り寝の寂しさをいっそうかき立てるさまを、率直に表している。
作者の「大伴坂上郎女」は、奈良時代の女流歌人で、大伴安麻呂の娘である。大伴旅人の異母妹にあたり、甥の大伴家持の叔母であるとともに姑となった。万葉集に多くの歌を残す。
この歌は万葉集巻八に大伴坂上郎女の歌として収められている。
初句「郭公」は、ほととぎすへの呼びかけである。
二句「いたくな鳴きそ」は、ひどく鳴かないでおくれ、の意で、「な〜そ」は禁止を表す。ここで句切れとなる。本巻の第百十七首の「声な惜しみそ」が鳴けと求めたのとは反対に、本歌は鳴くなと願い、待つ心と厭う心が反転している。
三句「独り居て」は、独りでいて、の意で、独り寝の寂しさを示す。
四句「寝の寝られぬに」は、眠ろうとしても眠られないときに、の意で、本巻の第百十八首の「寝こそ寝られね」と同じく眠れぬ夜を詠む。前歌がほととぎすを待って眠れないのに対し、本歌は独りの寂しさで眠れない点で対照的である。
結句「聞けば苦しも」は、聞くとつらいことよ、の意で、「も」は詠嘆の終助詞である。前歌の、人が疎ましく思うだろうという推量を受け、本歌は自らの苦しさとして直接に詠んでいる。
い:眠ること。睡眠。「いを寝」「いの寝らえぬ」の形で用いる
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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うたて人思はむものをほととぎす 夜しもなどか我が宿に鳴く
- 次の歌
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夏の夜の心を知れるほととぎす はやも鳴かなん明けもこそすれ