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夏の夜の心を知れるほととぎす
はやも鳴かなん明けもこそすれ

歌の意味
夏の夜の短さという心を知っているほととぎすならば、早く鳴いてほしい。夜が明けてしまうといけないから。
鑑賞
巻第二 夏歌 121

詞書「題しらず」
 夏の夜はすぐに明けてしまうものだと知っているほととぎすならば、夜が明けないうちに早く鳴いてほしいと願う歌である。短夜を惜しみ、ほととぎすの声を待つ心を、ほととぎすに語りかける形で詠んでいる。
 作者の「中務」は、平安時代中期の女流歌人で、敦慶親王と伊勢の娘である。母の伊勢とともに三十六歌仙に数えられる。

 初句「夏の夜の」は、夏の夜の、の意で、夏の夜の短さを前提とする。次歌の第百二十二首も「夏の夜は」で始まり、同じ作者による二首が対をなす。
 二句「心を知れる」は、その性質を知っている、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。夏の夜がすぐ明けるという性質を、ほととぎすも心得ているはずだとする。
 三句「ほととぎす」は、夜明け前の鳴き声が待たれるほととぎすをいう。前歌までの眠れぬ夜の歌を受け、短い夏の夜へと主題が移る。
 四句「はやも鳴かなん」は、早く鳴いてほしい、の意で、「なん」は他に対する願望の終助詞である。ここで句切れとなる。
 結句「明けもこそすれ」は、夜が明けてしまうといけない、の意で、「もこそ」は悪い事態を危ぶむ表現であり、已然形の「すれ」で結ぶ係り結びとなる。

あく:夜が明ける
作者
中務
出典
拾遺和歌集
前の歌
郭公いたくな鳴きそ独り居て 寝の寝られぬに聞けば苦しも
次の歌
夏の夜は浦島の子が箱なれや はかなくあけて悔しかるらん