- 歌の意味
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彦星が妻の織女を待つ七夕の宵に吹く秋風のせいで、私までわけもなく人が恋しく思われることだ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 142
詞書「延喜御時屏風歌」
彦星が妻の織女を待つ七夕の宵に、秋風に吹かれて、自分までもわけもなく人が恋しくなると詠む歌である。年に一度の逢瀬を待つ彦星の心に、地上の我が身の恋心を重ねている。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代の屏風歌である。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、紀貫之と並び称された。三十六歌仙に数えられる。
なお本文の三句は「秋思に」とあり、読み仮名の行の「あきかせに」と一致しない。ここでは本文の表記を残し、読みは読み仮名の行に従って「あきかぜ」とする。
初句「彦星の」は、牽牛星をいう。本歌から本巻の第百五十四首まで七夕を詠む歌が続き、その一連の始まりとなる。
二句「妻待つ宵の」は、妻である織女を待つ宵の、の意である。七夕の夜、彦星が天の川を渡って織女に逢うとされた。
三句「秋思に」は、読み仮名の行によれば秋風に、の意で、七夕の宵に吹く秋風をいう。
四句「我さへあやな」は、私までわけもなく、の意で、「さへ」は添加の副助詞、「あやな」はわけがわからない、という気持ちを表す。
結句「人ぞ恋しき」は、人が恋しいことだ、の意で、「ぞ」の係り結びにより連体形の「恋しき」で結ぶ。彦星の待つ心に自らの恋を重ね、天上と地上の恋を一首に収めている。
ひこぼし:牽牛星。七夕の夜に天の川を渡って織女に逢うとされる
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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秋立ちて幾日もあらねどこの寝ぬる 朝明の風は手本涼しも
- 次の歌
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秋風に夜の更けゆけば天の川 川瀬に波の立ち居こそ待て