天の川去年の渡りのうつろへば
浅瀬踏む間に夜ぞ更けにける
- 歌の意味
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天の川の去年の渡り場所が移り変わってしまったので、浅瀬を探して踏み渡っているうちに、夜が更けてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 145
詞書「題しらず」
一年の間に天の川の渡り場所が変わってしまったため、浅瀬を探しながら渡るうちに夜が更けてしまったと、彦星の立場から詠む歌である。年に一度しか渡らないがゆえの戸惑いに、逢瀬の時が削られていく焦りがにじむ。
作者の「柿本人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれる。三十六歌仙の一人に数えられる。
万葉集巻十の七夕の歌の中に、類する形の歌が見える。
初句「天の川」は、前歌と同じ初句で、七夕の一連が続く。
二句「去年の渡りの」は、去年渡った場所の、の意である。前歌の「遠き渡りに」と同じく「渡り」の語を用い、年に一度の渡河を詠む。
三句「うつろへば」は、移り変わってしまったので、の意で、「ば」は確定条件を表す。
四句「浅瀬踏む間に」は、浅瀬を探して踏みながら渡るうちに、の意である。前歌が船出を詠んだのに対し、本歌は徒歩で浅瀬を渡るさまを詠んでいる。
結句「夜ぞ更けにける」は、夜が更けてしまったことだ、の意で、「ぞ」の係り結びにより連体形の「ける」で結ぶ。本巻の第百四十三首の「夜の更けゆけば」に続き、七夕の夜更けが詠まれる。
こぞ:去年
あさせ:川の浅い所。浅瀬
うつろふ:移り変わる
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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天の川遠き渡りにあらねども 君が船出は年にこそ待て
- 次の歌
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さ夜更けて天の川をぞ出でて見る 思ふさまなる雲や渡ると