一年に一夜と思へどたなばたの
逢ひ見む秋の限りなきかな
- 歌の意味
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一年にただ一夜と思うけれども、織女が彦星と逢う秋は、尽きることなく限りなく続くことだ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 150
詞書「右衛門督源清蔭家の屏風に」
七夕の逢瀬は一年に一夜だけだが、その逢う秋は限りなく巡ってくると詠む歌である。年に一度という儚さを、尽きることのない繰り返しに転じ、二星の契りの永続を祝う心を込めている。詞書によれば、右衛門督であった源清蔭の家の屏風に添えた歌である。源清蔭は陽成天皇の皇子である。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「一年に」は、一年に、の意で、二句の「一夜」と対をなす。
二句「一夜と思へど」は、一夜だけと思うけれど、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。本巻の第百四十八首の「一夜妹に逢ふ」と同じく、一年と一夜の対比を用いる。
三句「たなばたの」は、織女の、の意である。
四句「逢ひ見む秋の」は、逢うであろう秋の、の意で、「む」は推量の助動詞である。
結句「限りなきかな」は、限りないことだ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。一夜という短い時を限りなく続く秋という長い時に転じ、一夜と永遠という別の尺度で七夕をとらえている。
ひととせ:一年
あひみる:逢う。男女が契りを結ぶ
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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たなばたに脱ぎて貸しつる唐衣 いとど涙に袖や濡るらん
- 次の歌
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いたづらに過ぐる月日をたなばたの 逢ふ夜の数と思はましかば