古典和歌stream

飽かずのみおもほえむをばいかがせん
かくこそは見め秋の夜の月

歌の意味
いつまでも見飽きないとばかり思われるのを、どうしたらよいだろう。このようにして見続けよう、秋の夜の月を。
鑑賞
巻第三 秋歌 174

詞書「円融院御時、八月十五夜描ける所に」
 秋の夜の月はいくら見ても飽きないと思われるが、それはどうしようもないので、こうしていつまでも見続けようと詠む歌である。名月への尽きない愛着と、それを繰り返し賞美しようとする心を表している。詞書によれば、円融天皇の御代に、八月十五夜の場面を描いた絵に添えた歌である。
 作者の「もとすけ」は清原元輔である。清原深養父の孫で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。清少納言の父で、三十六歌仙に数えられる。

 初句「飽かずのみ」は、飽きることなくばかり、の意である。
 二句「おもほえむをば」は、思われるであろうことを、の意で、「む」は推量の助動詞である。
 三句「いかがせん」は、どうしようか、どうしようもない、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「かくこそは見め」は、このように見よう、の意で、「こそ」は係助詞であり、意志の助動詞「む」の已然形「め」で結ぶ係り結びとなる。
 結句「秋の夜の月」は体言止めで、見続けようとする対象を最後に示す。次歌以下でも月を見飽きない心が詠み継がれ、本巻の第百七十六首の「飽かぬは人の心なりけり」とも呼応している。

おもほゆ:自然に思われる
作者
清原元輔
出典
拾遺和歌集
前の歌
秋の月西にあるかと見えつるは 更けゆく夜はの影にぞありける
次の歌
ここにだに光さやけき秋の月 雲のうへこそ思ひやらるれ