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秋風のうち吹くごとに高砂の
尾上の鹿の鳴かぬ日ぞなき

歌の意味
秋風が吹くたびに、高砂の峰の上の鹿が鳴かない日はないことだ。
鑑賞
巻第三 秋歌 191

詞書「題しらず」
 秋風が吹くたびに、高砂の峰の鹿が鳴かない日はないと詠む歌である。秋風と鹿の声とを重ね、秋の深まりにつれて募るもの寂しさを表している。

 初句「秋風の」は、秋に吹く風をいう。
 二句「うち吹くごとに」は、吹くたびに、の意で、「うち」は接頭語である。本巻の第百八十九首が風の音で秋を知る山を詠んだのを受け、風と鹿とを結びつけている。
 三句「高砂の」は、播磨国の歌枕である高砂をいう。
 四句「尾上の鹿の」は、峰の上の鹿の、の意である。前歌の常磐の山の鹿に続き、鹿の声を詠む。
 結句「鳴かぬ日ぞなき」は、鳴かない日はない、の意で、「ぞ」の係り結びにより連体形の「なき」で結ぶ。二重否定によって、毎日鳴くことを強調している。本巻の第百九十七首の結句「たたぬ日ぞなき」と同じ形で結ばれている。

をのへ:山の峰。山の頂。尾上
たかさご:播磨国の歌枕。また高い山の意にも用いる。高砂
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
紅葉せぬ常磐の山に住む鹿は おのれ鳴きてや秋を知るらん
次の歌
秋風をそむくものから花すすき 行く方をなど招くなるらん